建築塗装とは、建物の外壁や屋根などに塗料を塗ることで、美観や防水、防錆などの効果を得る工事のことです。建築塗装には様々な種類の塗料があり、それぞれに適した素地や施工方法があります。また、塗装工事には現場の環境や下地処理などの注意点もあります。ここでは、建築塗装について詳しく解説します。
建築塗装の種類と適用素地
建築塗装には、主に以下のような種類の塗料があります。
- 合成樹脂調合ペイント
- 木部や鉄部などに用いられる塗料で、平滑性や美装性に優れています。鉄部に塗る場合は、下塗りに錆止めペイントを用います。
- フタル酸樹脂エナメル
- 木部や鉄部などに用いられる塗料で、耐久性や耐候性に優れています。光沢や色彩の豊富さも特徴です。
- 合成樹脂エマルジョンペイント
- モルタルやコンクリートなどに用いられる塗料で、水性で環境に優しいのが特徴です。1種は外部用、2種は内部用に分けられます。
- 多彩模様塗料
- 木部や鉄部、モルタルなどに用いられる塗料で、異なる色の塗料を同時に吹き付けることで、色々な色が斑目状になった仕上がりが得られます。立体感や奥行き感が出ます。
- 複層材
- 塗膜が強靭で接着強度も強い塗料で、ALCパネルなど強度の低い材料に用いられます。耐久性や耐候性に優れています。
- つや有り合成樹脂エマルションペイント
- 金属製素地やセメント系素地、石膏ボード素地などに用いられる塗料で、つやありを必要とする部位に適しています。水性で環境に優しいのも特徴です。
これらの塗料は、それぞれに適した素地があります。素地と塗料の相性を考えることで、塗装の効果を最大限に発揮することができます。以下の表は、塗料と素地の相性を示したものです。◎は最適、○は適用可能、△は条件付きで適用可能、×は適用不可を表します。
塗料の種類/素地の種類 | 木部 | 鉄部 | 亜鉛メッキ面 | モルタル・コンクリート |
---|---|---|---|---|
合成樹脂調合ペイント | ◎ | ◎ | ○ | × |
フタル酸樹脂エナメル | ◎ | ◎ | ○ | × |
ワニス | ◎ | × | × | × |
クリアラッカー | ◎ | × | × | × |
ラッカーエナメル | ◎ | ◎ | △ | × |
酸化ビニル樹脂エナメル | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
合成樹脂エマルジョンペイント | × | × | × | ◎ |
多彩模様塗料 | ◎ | ◎ | ○ | ◎ |
複層材 | × | × | × | ○ |
つや有り合成樹脂エマルションペイント | × | ○ | ○ | ○ |
建築塗装の現場施工の注意点
建築塗装の現場施工には、以下のような注意点があります。
- 材料の取り扱い
- 塗料は開封しないままで現場に搬入し、使用量が少ない場合は工事管理者の承認により同一製造所の同種塗料に限って工事現場で調色することができます。
- 2液型エポキシ樹脂エナメルの主剤、硬化剤およびシンナーは同一塗料製造所の製品を使用します。
- 塗装に好ましくない環境
- 気温が5度以下の場合や湿度が85%以上の場合は塗装を避けます。
- 強い風が吹いている場合や降雨の恐れがある場合も塗装を避けます。
- コンクリートやモルタルの下地の場合は表面含水率が10%以下になっていることを確認します。
- 下地処理
- 塗装前に下地調整でパテ塗りを行います。パテは塗装や壁紙貼りなどの下地のでこぼこの補修のために用いる材料です。
- 木部の塗装の場合は、素地調整の段階で脂が出た場合はセラックニスで節止めをします。また、塗装時の含水率は18%以下にします。
まとめ
建築塗装とは、建物の外壁や屋根などに塗料を塗ることで、美観や防水、防錆などの効果を得る工事のことです。建築塗装には様々な種類の塗料があり、それぞれに適した素地や施工方法があります。また、塗装工事には現場の環境や下地処理などの注意点もあります。